13 November

寒さも乾燥もなんのその!冬の始まりを楽しむ11月

~空気が乾く11月は、乾燥加工を楽しみましょう~

11月になり、大分冬らしくなってきましたね。今年は、10月に暖かい日が続き、10月末頃には26℃という夏日がありました。こうなると野菜の生育のリズムが狂うので、やはり、秋から冬にかけて少しずつ確実に寒くなってくれた方がありがたいと思う今日この頃です。
さて、11月にもなると、寒くなるだけでなく乾燥を感じる日が増えてきます。喉がイガイガしてきたり、土を触れば手がとても乾燥します。少し過ごしにくさを感じますが、しかし悪いことばかりではありません。

干し野菜(干した後)

干し野菜(干した後)

干し野菜

干し野菜

空気が乾燥する11月~2月頃までの期間は、「干し野菜」づくりのベストシーズンです。
干し野菜は、数時間~2日程度の間、晴天の日中に野菜を干して作ります。長期保存目的にカラカラに乾燥させるわけではない、いわゆる「ちょい干し」です。
干し野菜は、水分が飛んで凝縮されるので、グラム当たりの栄養価が高まるだけでなく、甘味や旨味までギュっと詰まって味が濃厚になります。また、水分が抜けるので味が滲み込みやすく、煮込み等の調理時間も短縮できます。

この時期、農業実践教室の畑ではダイコンがたくさん採れるので、私はダイコンをちょい干しして、「このもん」をよく作ります。「このもん」とは、いわゆる「ダイコンのはりはり漬け」で長崎県の五島列島の郷土料理です。
このもんの作り方はとても簡単です。
まず、大根の皮を剥き、3mm程度の厚さでイチョウ切りにスライスして、天気の良い日に1日程度「ちょい干し」します。乾燥度合は、少ししなびてシワが入るくらいがちょうど良いです。これを漬けダレに2日間漬け込みます。
漬けダレは、ダイコン1本に対して砂糖90~180g(お好みで量を変えましょう。私の味覚ですと180g入れるとかなり甘いです)、酢90CC、醤油90CCで作ります。酢と醤油を沸騰させてから砂糖を入れ、砂糖が溶けたら冷まして出来上がりです。漬けダレに昆布や鷹の爪、柚子の皮を入れると、味がガラリと変わります。

また、この時期には格的な沢庵も自分で作れます。
農業実践教室では、毎年11月に練馬ダイコンを干して沢庵を作っています。
練馬ダイコンは、70cmほどの長さがある細いダイコンで、肉質が締まっていて水分が少なく、皮が薄くて乾きやすいので、沢庵に向いています。練馬ダイコンがなければ、普通の青首ダイコンでも大丈夫です。
ダイコンは、最初に「しの字」に曲がるようになるまで干します。丸ごと干すので、干す時間は「ちょい干し」よりも長く、1週間程度です。干して柔らかくなったダイコンを塩、米ぬか、昆布、鷹の爪、あれば柿の皮(乾燥させたもの)やウコンと一緒に樽に詰め、重石を乗せて1か月程度寝かせたら出来上がりです。こうして作った沢庵は、干したダイコンならではの食感の良さと塩辛さが特徴の今どき珍しい「昔ながらの沢庵」です。近所のおばあちゃん農家にお裾わけすると、すごく喜んでもらえます。
干し野菜は、こうした漬物以外にも、例えば味噌汁に入れたり、白菜をちょい干ししてチャーハンに入れたり、干したカブをグリルにしてみたり…。ちょっと干してみるだけで味わいがぐっと変わってくるので、やり始めると面白いです。
寒くなってくると外に出るのが億劫になりがちですが、この時期ならではの乾燥した空気を活かして、いつもと少し違う野菜の美味しさを楽しんでみてはいかがでしょうか。

干している練馬ダイコンと青首ダイコン

干している練馬ダイコンと青首ダイコン

干したダイコンを漬ける準備

干したダイコンを漬ける準備

こんな風に丸めて詰めていきます

こんな風に丸めて詰めていきます

沢庵が漬けあがった状態

沢庵が漬けあがった状態

約2か月漬け込んだ沢庵(右下)

約2か月漬け込んだ沢庵(右下)

~11月は、霜対策をしましょう~

冬が始まる頃の畑

冬が始まる頃の畑

11月は、霜が降りる日が増え、野菜の霜被害が出てくる時期になります。
野菜の霜被害は、空気が冷えて空気中の水蒸気が昇華した時に、空気と触れている野菜の表面で、微細な結晶構造を持つ氷が成長することで起こる被害のことです。野菜が霜被害に遭うと、生育途中の柔らかい生長点付近(若い芽が集まっているところ)が凍って傷み、やがて野菜は枯死します。
霜被害は、気温が3℃近くまで下がる晴天の日、風がない日に多く発生します。

ホウレンソウやカラシナ等は霜に強いのですが、春菊やレタス等は霜に弱いです。ダイコンは、寒くなると甘くなりますが、強い霜が降りると傷んでいきます。
霜対策は、軽い霜であれば防虫ネットを1枚被覆しているだけでも有効ですが、11月も半ばを過ぎたら、防虫ネットではなく、より保温効果のある不織布に変えた方が良いでしょう。また、根菜類は、強い霜が降りる前に株元に土寄せをしたり、あるいは掘り上げて土に埋め、ハクサイは、ワラや紐で外葉ごと縛り内側の葉を守りましょう。

寒さに強いカラシナ

寒さに強いカラシナ

ホウレンソウ

ホウレンソウ

春菊

春菊

~11月は、鍋が恋しくなる季節。豪快な「ピェンロー鍋」で温まりましょう~

寒くなってくる11月は、やはり鍋が恋しくなりますよね。
そこで、今回ご紹介するお料理は「ピェンロー鍋」です。ピェンロー鍋は「豪快な白菜鍋」といったところで、大ざっぱに作れる簡単鍋です。
材料は、白菜、鶏肉、豚肉、干しシイタケ、塩、コショウ、春雨のみです。
それぞれの量は、本当に適当で良いのですが、鶏肉、豚肉はそれぞれ一人70~100gずつ、干しシイタケは一人2枚程度あれば十分でしょう。白菜の量は、鍋の大きさに比例しますが、4人であれば通常の白菜で1玉が目安です。
作り方は、とても簡単です。
まず、干しシイタケを水で戻します。この戻し汁が出汁になりますので、一晩つけてしっかり戻しておきましょう。戻し汁の量は、白菜からたくさんの水分が出てくるので、鍋の半分程度で十分です。
水で戻して柔らかくなったシイタケ、豚肉、鶏肉は、適当な大きさにカットし、白菜は、ざく切りにして芯の部分と葉先の柔らかい部分に分けておきます。春雨は水で戻しておきます。
鍋の準備が整ったら、鍋を火にかけ、白菜の芯の部分を戻し汁に入れて沸騰させ、そこに豚バラ肉と鶏肉をほぐし入れて鍋の蓋をします。再び鍋が沸騰したら、ごま油を「の」の字を書くように鍋の縁に沿って「1周半」垂らし、残りの白菜(葉の柔らかい部分)を目いっぱい入れて蓋をして弱火で約40分間煮込みます。
最後に春雨を入れてひと煮立ちさせて、食べる直前に再び鍋の中にごま油を「1周半」分入れて出来上がりです。
取り皿に少し多めの塩とお好みで一味唐辛子又はコショウを入れて、出汁ごといただきます。世の中は減塩ブームですが、ピェンロー鍋は「塩多め」の方が美味しいです。
鍋のシメは、残った出汁にご飯を入れて雑炊にしても、ラーメンにしても絶品です。

白菜

白菜

白菜たっぷりのピェンロー鍋

白菜たっぷりのピェンロー鍋