14 April

一気に春めいて、本格的な作業シーズンが到来する4月

~植物たちが成長スピードを加速。屋外作業が気持ちの良い4月~

4月に入って、すっかり暖かくなりましたね。この時期の日中のポカポカ陽気は本当に心地良いものです。穏やかな春の日差しを受けると、どうしても眠りに引き込まれてしまうという方は多いのではないでしょうか。
4月は、植物にとっても心地良い季節なのでしょう。あらゆる植物の生育スピードに拍車がかかります。

 

4月下旬のジャガイモ

4月下旬のジャガイモ

3月に地中に植えつけたジャガイモは、2~4週間ほどで地上に芽を出します。4月上旬には概ね芽が出揃い、すごい勢いで葉の数を増やしていきます。また、3月に種を播いて保温しながら育てるトウモロコシもこの時期は順調そのもので、すくすくと大きくなっていきます。育苗中の苗も、4月に入ると急に一回りも二回りも大きくなります。
このように、畑全体がこれから大きくなろうとする生命のパワーで溢れており、収穫時期はもう少し先でも、日に日に大きくなっていく野菜たちの姿に手ごたえを感じ始めるのが4月です。そして、こうした成長過程を日々確認していけることも野菜作りの楽しみの一つです。

ラベンダーの花

ラベンダーの花

切り戻したラベンダーから新芽

切り戻したラベンダーから新芽

4月は、多年草のハーブが一気に芽吹く時期でもあります。ラベンダーやミント、オレガノ、レモンバーム、マロウ、タイム等、冬を越すために短く刈り込んでおいた株の付け根から小さな芽がたくさん出てきます。冬の間殺風景だったハーブ園が、何もしなくても葉が増え、株が増え、少しずつ賑やかになっていきます。
そんな4月は、本格的に農作業を開始するシーズンです。今年の庭作り、気持ちの良い4月に本腰を入れてスタートしましょう。

~色々な苗を植えましょう!~

育苗中のバジル

育苗中のバジル

4月は色々なハーブの苗がホームセンター等で販売され始める時期です。
ハーブは、多年草であれば、一度苗を植えたら、年に数回の刈り込み程度の手入れだけで何年も楽しめます。こまめな手入れが苦手な方は、多年草のハーブを楽しむと良いでしょう。
ハーブの定植(植えつけ)時期は、3月から5月の間が良いと一般的に言われていますが、私は、4月定植が一番良いように思います。3月は霜が降りる日がまだ多く、そして近頃の5月はハーブの苗を植えるには雨が少なく、そして少し暑すぎるように感じるからです。

夏野菜の苗も、関東地方であれば、4月から植えつけることができます。農業実践教室の畑では、トマト、ナス、ズッキーニ、カボチャ等夏野菜の苗の殆どを4月に植え付けます。ただし、4月はまだ遅霜(季節外れの霜)の恐れがあります。トマトやウリ科(カボチャ、ズッキーニ、キュウリ等)は霜に弱いので、4月に植えつける場合には、霜対策を必ず行います。霜対策には色々あるのですが、不織布等で被覆するのが最も簡単です。夜間の保温にもなりますので、霜の恐れがなくなるゴールデンウィークが明ける頃までは、霜対策の被覆をお勧めします。

色々な品種のナス

色々な品種のナス

色々な品種のトマト

色々な品種のトマト

ところで、農業実践教室では、夏野菜のトマトやナスは、毎年色々な品種を植え付けています。品種というのは、キャベツ、トマト、ニンジンといった「品目」というくくりの下のもう1段階細かいくくりのことです。トマトやナスは、品種によって見た目や味が違うので、その違いを知り、そして楽しむため色々な品種を育てているのです。

たとえば、ミニトマトでは、大手種苗会社「サカタのタネ」が発売している「アイコ」が、大玉トマトでは「タキイ種苗」が発売している「桃太郎シリーズ(桃太郎のブランドでいくつもの異なる品種が出ています)」が、それぞれ名の通った「品種」で、良く売れています。しかし、これら以外にも色々なメーカーが素晴らしい品種をたくさん開発しています。その開発の方向性は、耐病性はもちろん、糖度やグルタミン酸(旨味)のレベル、皮の色や厚み、固さ、ゼリー部分の量や食感、リコピン(抗酸化作用の成分)含有量やプロリン(コラーゲンの主成分)含有量等多岐に亘り、品種のカタログ等を見ていると目移りしてしまいます。美味しいトマトができるか否かは、品種と育てる人の栽培技術に拠るところが大きいので、栽培の腕を上げることと同じくらい品種選びは大切です。

長ナス

長ナス

また、ナスは、関東地方では手のひらサイズの「中長ナス」が一般的ですが、関西では、「長ナス」といって、長さ20㎝以上の長いナスの方が一般的です。中長ナスは、食味が和食全般に向くナスで、長ナスは、炒めものや焼きナスにすると絶品のナスです。また、「青ナス」と呼ばれる緑色のナスもあります。これは、皮が固いのですが、じっくり煮込むととろける食感でとても美味しいです。この食味は、中長ナスや長ナスでは出せない食味です。
野菜の品種は、奥深く面白いものです。毎年少しずつ何か新しい品種に挑戦してみるのも楽しいものです。そして、美味しく作れたら、自家消費だけでなく、ご近所やお友達にお裾分けしても良いですよね。

~4月はネギ坊主、若葉が美味しい時期~

3月から小松菜やカブ、水菜、白菜等野菜たちが次々に花芽をつけてきました。4月になって花芽をつけるのがネギです。ネギは、葉っぱのてっぺんに「ネギ坊主」と呼ばれる花芽をつけます。
ネギ坊主は、通常は捨ててしまうのですが、てんぷらにするととても美味しいです。
ネギ坊主は、最初は小さく、次第に大きくなっていきます。大きくなるにつれて、皮が薄くなるので、てんぷらにすると焦げやすくなります。ですから、できるだけ小さなうちに収穫し、小ぶりのネギ坊主に衣を薄くつけてさっと揚げましょう。

小松菜、ルッコラの若葉

小松菜、ルッコラの若葉

ネギ坊主

ネギ坊主

ネギ坊主のてんぷら

ネギ坊主のてんぷら

4月はまた、早春に種まきをした葉物野菜(小松菜、ルッコラ等)の収穫が始まる時期です。この時期は、若い葉をベビーリーフのように収穫して、生でサラダとして楽しむのがオススメです。大地で育てた葉物野菜のベビーリーフは、味が濃いです。特に、まだ肌寒い時期にゆっくりと大きくなった小松菜やルッコラの若い葉は、葉に厚みがあるので、ドレッシングでベチャっとしにくく、味も濃く、贅沢な味わいです。
小松菜等の葉物野菜は、気温が高くなると、美味しく作るのは少し難しくなってきます。家庭菜園で葉物野菜を美味しく楽しめる時期は5月収穫までですので、残り少ない旬の季節を存分に楽しんでください。