14 May

収穫の楽しみ、管理の楽しみが始まる5月

~5月の畑は夏を先取り~

木々の柔らかそうな新緑が日に日に深まっていく5月。少し前まで桜の開花に気分が華やぎましたが、5月の新緑もまた美しく心に響くものがあります。
5月になると、農業実践教室の畑の景色は、一気に賑やかになります。トウモロコシは、日に日に背が高くなり、ジャガイモは花をつけ、ズッキーニやキュウリは実を付け始めます。トマトは、少しずつ背を伸ばしながら、青い実が下から順につき始めます。夏野菜の畑は、野菜の彩りが平面だけでなく立体的に増えていくのが特徴です。

5月下旬の背が高くなったトウモロコシ

5月下旬の背が高くなったトウモロコシ

ジャガイモの花

ジャガイモの花

これから赤くなる5月のトマト

これから赤くなる5月のトマト

そんな5月は、春と夏の境目の季節です。少しずつ気温が上がり、少しずつ穏やかに夏に向かっていけば理想的なのですが、近年は、ゴールデンウィーク前後から急に暑くなり、そして非常に雨が少なくなっているように感じます。今年は、4月末に北海道や青森で一日の最高気温が30℃を超える真夏日があったというから驚きですが、千葉市も5月に入ってすぐ25℃を超える日が続きました。
こうなると、一気に畑作業は夏モードです。

トウモロコシのポリフィルムを外す

トウモロコシのポリフィルムを外す

教室では、それまで被覆しながら育てていたトウモロコシのポリフィルムを一気に剥がしました。気温が25℃を超えると、ポリフィルムの中の温度は、フィルムの厚さにも拠りますが、45℃くらいまで上がります。トウモロコシは暑さに比較的強い作物なので、適度に温度が高ければ生育が促進されますが、過度に温度が高いと生育は停滞し、ひどい場合には焼けてしまいます。

夏モードといえば、女性はもちろん日焼け対策です。私の場合、ほぼ毎日のように畑に出ているので、日焼け対策はかなりの重装備です。長袖着用はもちろんですが、農家帽と呼ばれる大きな日よけがついた帽子をかぶり、顔は、日焼け止めクリームをさっと塗り、目の下から首にかけてしっかりガードできる日焼け防止用のフェイスカバーをつけます。こうすると、日焼けはかなり防げます。女性の皆さんは、万全な日焼け対策をして、日差しの強さに臆することなく屋外で作業をしましょう。

~作業ボリュームが急に増える5月、頑張りましょう!~

家庭菜園で畑を作り、野菜を育てている方の中には「水やりはお天気任せ」という方がいらっしゃるかもしれません。しかし、例外はありますが、多くの野菜は生育時期のどこかで、あるいは生育時期全般を通して水を欲しがります。
たとえば、トウモロコシは原産地が中南米付近と言われていることもあり、水はほぼ不要のイメージがあるかもしれませんが、日本で一般的な美味しいスウィートコーンを栽培するためには、生育時期の中盤以降からは水がある程度あった方が良いです。また、豆は、水が多すぎると根が腐ってしまいますが、適度に水分を吸収できないと美味しい豆は出来ません。小松菜やレタス等葉を食べる野菜は、水が少なくても大きくなっていきますが、水不足で育ったものは、食べてみると食感がポソポソしたり、苦味が出てしまいます。
また、植物は水に溶けている肥料を吸います。肥料を入れても水分が不足していれば、肥料が効きません。5月は、気温が高くなっているので、水分が適度にあれば、野菜は、日々勢い良く成長します。肥料をたっぷり入れたのに生育が悪い場合は、肥料をさらに足す前に、まずはたっぷりと水をやってみましょう。
なお、トマトは水が多いと葉や茎ばかりが茂って実がつきにくくなり、また実が出来ても水っぽくて味が薄く、美味しいものは出来ません。トマトは、全般を通して水を控えめにすると良いでしょう。

トウモロコシの追肥

トウモロコシの追肥

カボチャの摘果

カボチャの摘果

ところで、夏野菜は、野菜に対して直接手をかけて管理する作業が多いです。たとえば、「不要な実を落として収穫する実の数を絞り込むこと」、「余計な枝葉を落とすこと」、「追加で肥料をやること」等です。こうした管理作業は、5月から徐々に始まります。5月から少しずつ忙しくなってきますが、どの作業も、きちんとやれば結果がついてきます。頑張りましょう。

~5月の野菜はシンプルな料理をアウトドアで楽しみましょう~

採れたての野菜は、やはり、極力手を加えないで楽しみたいところです。
玉ねぎを育てていた人は、待ちに待った収穫です。5月に収穫した玉ねぎは、新玉ねぎとして生食を楽しみましょう。
新たまねぎというのは、収穫シーズンが始まったばかりの水分が多い玉ねぎのことを言います。「生食が美味しい」という品種もあるのですが、本来貯蔵向きの品種でも、収穫シーズンが始まったばかりの頃は、みずみずしく生で食べても美味しいです。
新玉ねぎを使った料理と言えば「玉ねぎサラダ」です。玉ねぎを薄くスライスして、かつおぶしとドレッシングをかけて生でいただきましょう。玉ねぎサラダには、純米酢等口当たりが柔らかい酢とごま油、醤油、こしょう、塩で作った和風ドレッシングがとても良く合います。
新玉ねぎは、一般的な玉ねぎより辛みが少ないのですが、気になる人は、まな板等の上に広げてしばらく置いておくだけでも辛味が抜けます。

掘りあげたばかりの新ジャガ

掘りあげたばかりの新ジャガ

ジャガイモを素揚げする

ジャガイモを素揚げする

3月にジャガイモを植え付けた方は、5月も下旬になれば、新ジャガを収穫できます。新ジャガは、皮が薄くて火の通りが早いので、素揚げで楽しむのがお勧めです。新ジャガは、味そのものは淡白ですが、薄い皮の食感と風味が最高です。
新ジャガの素揚げは、初めは低めの温度でじっくりと揚げて中まで火が通し、最後に高温で揚げましょう。そうすると、焦がさずに中は柔らかく、表面はカリっとした仕上がりになります。

また、5月は、気持ちの良い季節なので、収穫した野菜を屋外でバーベキューをしながら食べるのもお勧めです。
たとえば、空豆は莢(サヤ)ごと炭火焼き、新玉ねぎはアルミホイルに包んで蒸し焼きにしてみましょう。じっくりと加熱して蒸し焼き状態になった空豆、玉ねぎは、味が濃くて美味しいです。

空豆炭火焼き

空豆炭火焼き

焼きソラマメ

焼きソラマメ

玉ねぎのホイル焼き

玉ねぎのホイル焼き

ソラマメ

ソラマメ

自家菜園の採れたて野菜をお友達と一緒にアウトドア料理で楽しめたら、それは最高の贅沢ですよね。農ある豊かなライフスタイルをぜひ、楽しんでください。